今さらですが『嫌われる勇気』(岸見 一郎 ・古賀 史健 /ダイヤモンド社)を読みました。ベストセラーになった上、昨年は舞台化もされているので、あなたもタイトルくらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。
いやー、この本、めっちゃ衝撃的でした!
心理学者といえば真っ先に浮かぶのは、フロイトやユングではないかと思いますが、本書で取り上げられているのはアドラーです。
ユングやフロイトの場合は、「なぜ今の状態になったのか?」という原因論が主軸になっていますが、アドラーの考え方は「なんのためいこの状態を作っているのか?」という目的論を基本としています。
たとえば、過去に親から虐待を受けていた青年がひきこもりになったとします。ここで原因論を用いた場合、「親からの虐待がこの青年にどんな影響を与えたのか」などを掘り下げていくことになりますが、目的論を用いると、「青年がひきこもる目的」を探ることになるんです。
どういうことかというと……
子どもがひきこもると、親は自分の育て方が間違っていたのではないかとか、どうやったら社会復帰させることができるかとか、思い悩むことになりますよね。ひきこもっていなかったときと比べると、子どものことを考える時間が膨大に増えるでしょう。
「ひきこもることで、親にとって気にかけるべき存在、特別な存在になる」
これこそがひきこもる目的だというんです。
ところが、社会に出てしまえばその他大勢と変わらない平凡な自分に戻ってしまいます。だから、青年はひきこもり続けることになる。ひきこもっている本人も苦しみや不満を抱えているわけですが、ある意味、目的に沿って生きているというのです。
これを知っているかいないかでは、親御さんも対応の仕方が大きく変わってくるのではないでしょうか。
また、自分自身について考えるときも、原因論で考えるより目的論で考えた方が前向きになれます。
この本を読んだことで心がすごく楽になりました。「自分のために書かれた本なのではないか?」と錯覚してしまうほど、読み手に寄り添った素晴らしい内容でした。
生き方に悩めるすべての人におすすめしたい一冊です。
最近、第二弾の「幸せになる勇気」も出版されたようなので、そちらも読んでみたいなと思っている今日このごろです。