健康保険料などの標準報酬月額の改訂と対策について

今年4月から、健康保険等の標準報酬月額の上限等が以下の表のとおりに改訂されます。

改訂前
月額等級 標準報酬月額 報酬月額
第47級 1,210,000円 1,175,000円以上

改訂後
月額等級 標準報酬月額 報酬月額
第47級 1,210,000円 1,175,000円以上
1,235,000円未満
第48級 1,270,000円 1,235,000円以上
1,295,000円未満
第49級 1,330,000円 1,295,000円以上
1,355,000円未満
第50級 1,390,000円 1,355,000円以上


今回の変更で影響を受けるのは、報酬月額が123万5,000円以上の方たちです。

これまでは、報酬月額が117万5,000円以上の方はすべて同じ保険料率だったので、たとえば月収が135万5,000円以上であっても第47級となり、健康保険料の本人負担額は6万742円*1でした。

 

これが、今回4月の改訂後は、表のとおり117万5,000円以上も第50級まで段階的に支払う金額が増えていくということになります。つまり、上の例で出した月収135万5,000円以上の方の場合、第50級にまで負担額が上がるということです。もちろん、同じ額だけ会社負担も増えることになります。

ちなみに、厚生年金は第30級(健康保険で考えると第34級)が上限となっています。

 

話は変わりますが、最近新聞に掲載された「東芝確定拠出年金を10月導入 国内最大規模の9.5万人」という記事を読まれましたか?

確定拠出年金というのは国が作った制度で、他に企業年金制度を持たない場合、掛金5万5,000円までを上限として加入できるというものです。

掛金は各種控除の対象となるので、労働保険、社会保険所得税の計算から省かれます。

 

つまり、健康保険の場合、第35級以上の方は確定拠出年金にいくらかを掛けて1等級下げれば、将来もらえる年金額を変えずに(支払う厚生年金の額が変わらないため)、健康保険料の支払い額だけを下げることが可能です。

 

確定拠出年金は、健康保険料や所得税に対する優遇を目的にしているわけではありません。

現在の年金制度は、1階部分(国民年金等)、2階部分(厚生年金等)、3階部分(厚生年金基金確定給付年金等)に分かれているのですが、このうち3階部分の厚生年金基金はほとんど破たんしている状態です。このままでは、運用次第では企業に多大な負担がかかってしまう結果となるため、それを補う制度として設けられたものと思われます。社会保険や税金の優遇があるのは、この制度を普及させるためではないでしょうか。

 

いま、テレビCMなどで盛んに「NISA」が押されていますが、「NISA」は掛金に対して得られた利益に税金がかからない制度ですが、掛金自体は税金や保険料の控除対象にはなりません。

 

それに対して「確定拠出年金」の場合は、上でご説明したとおり、掛金が控除対象となる上、運用利益が出たときも税金や社会保険料の計算から除外*2されます。リスクのある運用以外に、定期預金も選択可能なので安心です。

また、「確定拠出年金」は会社単位・個人単位どちらで加入することも可能です。

 

すこしでも興味をお持ちになられましたら、

06-7162-9378

までお電話下さい。ご希望に応じてご説明に伺わせていただきます。

*1:(※1)大阪府・40歳未満の場合

*2:(※2)60歳以上になって確定拠出年金を受け取るときには、退職一時金扱いとなります。